『白鳥とコウモリ』の原作ネタバレが読みたい!犯人は誰?
この記事では、東野圭吾さん作『白鳥とコウモリ』のネタバレあらすじを結末まで書いていきます。
幸せな日々は、もう手放さなければならない。
遺体で発見された善良な弁護士。
一人の男が殺害を自供し事件は解決――のはずだった。
「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」
2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の”告白”、その絶望――そして希望。
「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」
私たちは未知なる迷宮に引き込まれる――。作家生活35周年記念作品
『白夜行』『手紙』……新たなる最高傑作、
東野圭吾版『罪と罰』。Amazon商品ページより
もくじ
『白鳥とコウモリ』原作ネタバレあらすじ!犯人・結末も!
※以下、重大なネタバレが含まれます。
捜査開始
東京で白石健介という弁護士が殺された。
ナイフが刺さったままの遺体が発見されたのは、違法駐車されていた車の後部座席。
殺害現場は隅田川テラスと見られ、現場からは血の付いた被害者のスマートフォンが見つかった。
GPSの位置情報の履歴から、被害者は事件当日を含め3回富岡八幡宮の隣のコインパーキングに車をとめていたことが判明。
刑事の五代は所轄の中町と共に捜査をすることになった。
2人は依頼人や元依頼人、弁護士仲間など様々な関係者たちから話を聞くが、白石は人に恨まれるような人物ではないという。
また、誰に聞いても白石と隅田テラス・富岡八幡宮といった場所の共通点は見つからなかった。
五代は本部からの命令で倉木達郎という人物に会いに愛知県安城市に向かうことに。
倉木は白石の法律事務所に一度だけ電話をかけていたのだが、本人によればただの法律相談が目的で、会ったことはないと言う。
しかし、五代は倉木の家の中に富岡八幡宮のお札が貼られているのを発見し、倉木を疑い始める。
五代からの質問に、倉木は高円寺に住む息子に会いに東京に行くことがある、お札は人から貰ったが誰から貰ったのかは忘れてしまったと答えた。
30年前の事件
東京に戻った五代は、中町と共に倉木の息子・倉木和真に会いに行く。
和真によれば、父は2~3ヶ月に一度上京し、日付が変わってから部屋にやってきて翌朝一緒に朝食をとったら別れるのだという。
五代たちはこの話から、倉木達郎の上京の目的は「女」なのではないかと考える。
そして、聞き込みの捜査員たちにより倉木が門前仲町の『あすなろ』という小料理屋に通っていたことがわかった。
そこは浅羽洋子・織恵という母娘がやっている店で、五代と中町はさっそく話を聞きに行く。
やはり倉木の家にあった富岡八幡宮のお札はこの店でもらったものだった。
そこで、母の洋子から「私の夫は警察に殺されました」という思わぬ告白をされる。
事件が起きたのは30年以上前の愛知県。
殺害されたのは灰谷昭造という男で、事件の3日後に福間淳二(洋子の夫)が逮捕された。
その4日後、福間は留置所内で首吊り自殺により亡くなったのだった。
五代たちはこの事件について知るため、元捜査員の松村に話を聞きに名古屋へ向かう。
被害者の灰谷は悪徳商法に加担しており、犯人は騙された人物たちの中にいると思われていた。
逮捕された福間も詐欺被害者の一人で、厳しい取り調べの末自供する前に留置所で自殺。
被疑者死亡のまま送検され不起訴になったのだという。
松村が個人的に保管していた当時の捜査資料を元に、事件の関係者の中に倉木という人物がいなかったか調べる五代たち。
すると、遺体発見者の2人のうち1人が倉木だったことが判明した。
自白
防犯カメラに白石弁護士と会う倉木の姿が映っていたことから、再び倉木の自宅を訪ねる五代。
倉木は「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」と話し出した。
倉木の供述によれば、33年前、自転車に乗った灰谷を相手に接触事故を起こしてしまった。
勤務先にばらすと脅され、金銭を要求されたり運転手をさせられたりしていたことから衝動的に刺殺。
その後遺体の第一発見者となったが容疑者とはならず、別の男性が逮捕されやがて死亡したことを知る。
罪の意識に苛まれながらも時効を迎え、病により妻が逝去した後、探偵を雇って遺された福間の妻と娘の現状を調べた。
さらに10年ほど経ち定年退職後に様子を見に「あすなろ」に通うようになった。
白石弁護士と出会ったのはその頃。東京ドームで野球の試合を観た際に偶然知り合い、やがて過去の罪について話した上で“浅羽母娘に遺産を譲るにはどうしたらよいか”を相談するように。
しかし白石弁護士は「生きているうちに浅羽母娘に謝罪するべきだ」と言ってきたため、このままではばらされてしまうと殺害した。
倉木の自供内容に矛盾はなく、事件は解決したかに思えたが、五代は倉木が30年前の事件でなぜ容疑者から外されたのかを疑問に感じる。
さらに、倉木の供述の裏取りができない状況が続いた。
被告人の息子と被害者の娘
倉木が逮捕されたことにより、息子の和真はしばらくの間会社を休まされる。
倉木は死刑を覚悟しており、和真に会うことを拒否していた。
和真は事件について知れば知るほど、父の動機や供述内容に納得できないという気持ちになる。
だが父の弁護人・堀部は裁判員への印象をよくし裁判を有利に戦うことしか考えていない。
“殺人犯の息子”としてマスコミからの取材を受けたりネット上で誹謗中傷を受ける中で、和真は自分なりに事件の真相を探り始める。
一方、亡くなった白石弁護士の娘・美令は真相を知りたいと被害者参加制度を使って裁判に参加することに。
美令もまた、倉木の語るストーリーの中の父・健介の人物像に違和感を抱いていた。
加害者の息子と被害者の娘という立場ながら、やがて2人は真相を突き止めるために協力し合うように。
刑事の五代も巻き込みながら、少しずつ真実が明らかになっていく。
30年前の事件の真相
30年前の事件の犯人は当時大学生だった白石健介だった。
愛知に住む白石の祖母が灰谷の紹介でいくつも悪徳商法の金融商品を買わされており、金を取り返すために東京から灰谷の元を訪ねていた。
倉木は交通事故をきっかけに灰谷の運転手としてこき使われ事務所を出入りする中で、白石と偶然出会い事情を聞いていた。
事件の日、白石が灰谷に会う直前に福間が訪ねて来ていて争った形跡があった。
その後口論の末、白石は衝動的に灰谷を刺してしまう。
遺体の第一発見者である倉木は白石が灰谷の殺害現場から立ち去るのを目撃し、逃走を手助けする。
そのときは正しいことをしたと思っていたが、福間が逮捕されさらに自殺したことを知り動揺する。
倉木は白石と会って誤認逮捕は警察の責任だと話し吹っ切れるが、後に浅羽母娘の存在を知ったことで自らの過ちに気づく。
真犯人
白石弁護士を殺害した真犯人は、浅羽織恵の14歳の息子・安西知希だった。
織恵は父親が殺人犯だということが原因で離婚し、息子とも離れて暮らしていた。
倉木が「あすなろ」に通ううち織恵は倉木に好意を寄せるようになり、あるとき自分の気持ちを倉木に明かす。
すると倉木は過去の自らの過ちを告白した。
2人が男女の関係になることはなかったが、織恵は過去の事件の真実を母には話さず、2人だけの秘密とした。
倉木は偶然白石が弁護士となっていることを知りコンタクトを取る。
白石もまた長年罪悪感に苛まれており、倉木は「あすなろ」のことを白石に教える。
さらに、悩んだ末白石のことを織恵にメールで伝えることにした。
たまたま面会で織恵のもとにいた安西知希は、メールを盗み見て白石のことを知ってしまう。
白石を刺したのは知希だったが、その現場から遺体が発見された場所まで車を運転したのは白石自身だった。
白石は捜査を混乱させ、知希を守ることで過去の罪を償おうとした。
その意図を汲んだ倉木もまた、自らが身代わりとなることで知希を守ろうとしたのだ。
安西知希はあっさりと罪を認めた。最初に語った動機は“冤罪により長年自分や家族が苦しんできた原因となった人物の存在を知り、復讐しようと思った”という内容のものだった。
だが、知希にはもともと殺人欲求があったということが明らかになる。
小学生の頃、祖父が殺人犯だと知られたときにいじめられるどころか恐れられた経験から人殺しに興味を持った。
母のメールを盗み見たことで人殺しの動機を得たと思い、行動に移す原動力になったのだという。
安西知希が逮捕されたことで倉木は釈放された。
美令は“被害者の遺族”から“加害者の家族”となり、嫌がらせを受ける立場となってしまった。
その後
白石弁護士が殺害された事件から1年半ほどが過ぎた。
和真は父が癌で亡くなったことを知らせに「あすなろ」を訪ねる。
倉木は自分の余命がわずかなことを知っており、死刑も受け入れていたのだ。
また、織恵に遺産を譲りたいという申し出はきっぱりと断られた。
さらに和真は美令の元を訪れ、自分の気持ちを伝える。
だが美令は自分の身体に殺人者の血が流れていることについて悩んでおり、“罪と罰の問題”に対し何らかの答えが見つけられたら気持ちに応えたいと話すのだった。
『白鳥とコウモリ』タイトルの意味は?
タイトルになっている「白鳥とコウモリ」という言葉は刑事の中町のセリフの中に出てきます。
「光と影、昼と夜、まるで白鳥とコウモリが一緒に空を飛ぼうって話だ」
『白鳥とコウモリ』より
立場上は敵同士である倉木和真と白石美令が真相を突き止めるために協力していることについて五代と話すシーンです。
このネタバレでは登場人物たちの細かな心理描写や真相につながる伏線等は書ききれなかったので、気になる方は原作をチェックしてくださいね。